いつもと違う朝。





曖昧じゃない―――…鮮明に覚えてる夜。





「追いかけないの?」


「………。」


「好きだったら普通は追いかけるものよ?追いかけないって事は……好きじゃないのね。」





パーティーでまりあが先に帰った後、冴子にそう言われ自分がわからなくなった。





「想い人ってまりあちゃんだったんでしょ?でも、今の樹を見てるとまりあちゃんが好きとは到底思えないわね。ずっと想っていたのはただお礼がしたいと言う気持ちが転換したのよ。」





そうなのか………?





だから会いたいと強く願っていたのか?





「まりあちゃんには可哀想だけど、とても樹が好きになるようなタイプじゃないわよね。」





俺が好きになるタイプ……?





「なによその顔〜。自覚ないの?樹の歴代彼女達って私も含めてだけど家庭に収まるような女じゃないでしょ?ほんわかしてて家庭的で控え目な女なんて見向きもしなかったじゃない。」





そんな事言われてもな………昔の女なんて思い出せない。





「どう考えてもまりあちゃんは樹の避けてたタイプじゃない。」