天高く、雲はまばら。どこまでも青く続く空に、トンビの鳴き声が響く。

 そんな清々(すがすが)しい真昼を切り裂いて──

“ザザッ! ……ガカッガカッ”

 森から勢いよく飛び出してきた、馬の背にまたがった青年。

「早く捕まえろ!」

 青年の後ろから、同じく馬で追ってくる数人の男たち。

「……しつこいな」

 森から出て数十メートル馬を走らせた時、

“グオオオォォーウ!”

「うわぁ!」

 空から突然、現れた白いドラゴンに驚き馬が主たちを振り落として逃げていった。

 青年はそれを確認すると馬を止め、静かにその背から降りる。