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そんな出来事を乗り越えつつも、オレは大いに兄さんのお世話をしているわけで。


「兄さん、そろそろ出掛ける準備しなよ」

「どこか出掛けるのか?」

「今夜飲み会って言ってただろ」

「おぉ、そうだった」




……こんなこと日常茶飯事だから、動じないよ、オレ。


「着る物一応そこに準備しといたから。
 オレ先に出掛けるけど、ちゃんと戸締まりしてってよ」

「子供じゃあるまいし、アサヒに言われなくてもちゃんとするよ」




毎日オレにネクタイ結んでもらってる人が言って良いセリフじゃないよね、それ。






本当は先に兄さんを送り出したかったけど(家が心配だから。戸締まりできてなかったこと多々)、
太一達との約束の都合でどうしてもオレが先に出なくちゃいけない。




「じゃあオレ行ってくるから。
 戸締まり頼んだよ!」

「おう。
 あ、帰り遅くなるから先に寝てて良いからな」

「わかったよ。
 じゃあ行ってきます!」




オレは不安を存分に残しつつ、兄さんを残して先に家を出た。




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