ケータイ小説 野いちご

成長する






激痛に悶えながら、自分の部屋に向かう階段を上った美幸は、のぼってすぐのところで、壁に向かせられた。

壁を、どうするつもりなのか。兄は、そこに部屋があると言った。だが、目の前はやはり壁だ。自分の部屋の向かいにやはり、部屋などない。

「さあ美幸」

と兄が名前を呼び、

「あい」

と少女が返事をしたことが、信じられなかった。

(この化け物の名前が、私と、同じ……? なんでお兄ちゃん? なんで……!?)

それは、なぜこの化け物と兄がこんなにも親しそうなのかという疑問も含めた、さけびだった。

少女が両手で、壁を押す。傷んだ腕がじゃくじゃくと悲鳴をあげ、また骨の一本にでもひびが入った時、壁が重々しく半回転した。まるで忍者屋敷の仕掛けである。人がひとり通れるスペースの先には、階段があった。

螺旋階段。

それは、真実へと下りておけるかどうかを疑ったスパイラル。

しかし兄はその先になにがあるのか、答えをすでに知っている。

「行くよ、美幸」

と、今度は美幸に言い、促した。先ほどへし折られた腕を引っ張られ、激痛に悶える。

「ぃいいっ、ひっ、痛い! おにいちゃっ、いたっ……!」

「うるさいよ、美幸。騒ぐんじゃない。すぐに痛くないようにしてあげるんだから、もう少しの辛抱だ」

「っ、ひっ……!」

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