静かな控え室に響く、乾いた音。




「俺が出てくるから、桃は無理すんなよ?」




お腹に新しい命を宿しているあたしを気遣ったのか、遼平さんはスタスタとドアの方に近付いていき、

―――ドアをゆっくりと開けた。



そこには、見た事ない二人の人物がいた。


男の人と、女の人。

あたしより少し若そうだった。




「失礼ですけど、どちら様でしょうか…?」




ニッコリ笑う遼平さんは、「営業スマイル」で対応している。


遼平さんの言葉を聞いた男の人は、いきなり頭を下げ始めた。




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