「うわぁぁ…ん」




どうしたんだろう。



洗面所にしゃがみ込んで、泣き出してしまった。




自分でもよくわからない。


客観的な私がいて、泣いている私を慰めているようだった。


『何、泣いてるの?幸せなのに』




そうだよ。


毎日幸せだし、大好きな先生と一緒にいられて嬉しいし……





「お母さん……っ!!」




泣きながら、私が呼んだのはお母さんだった。


目を閉じると、お母さんの優しい笑顔が浮かぶ。


涙で濡れた両手。


お母さんの手の温もりを思い出すと、また涙が出た。




先生のことでやきもち焼いちゃったり、不安な時、いつもお母さんに話を聞いてもらっていたんだ。


どんなに辛くても、お母さんやお父さん、お姉ちゃんがいる部屋にいれば、笑顔になれた。


お母さん、今……先生が誰と話してるのかなって考えると辛いんだ。



先生のことを好きな人が先生の隣で嬉しそうに話してるんじゃないかって想像して、泣きたくなるんだ。



もう旦那さんになったのに、まだ独り占めしたいって思う直はわがままかな。