準決勝から1日空いた次の日、いよいよ決勝が行われる。


午後2時5分キックオフ。


「里穂、ちゃんと温かい格好して見てろよ」


「もう。なんで決勝前なのに私の心配してるの?」


会場に向かうバスに乗る前、修斗は自分のことより私のことを気にしてる。


「お前来週センター試験だろ。風邪引いたら困るし」


「そうだけどさ。人のことより、自分のこと気にしたらいいじゃん。試合前なのに」


「俺は別に気にすることなんてないし。今日はさ、今までやってきた高校サッカーの集大成なんだよ。今までやってきたことを全部出せれば、結果はついてくるし」


「うん。修斗なら大丈夫だよ」


「サンキュ、里穂」


私の髪をくしゃくしゃとなでると、修斗はバスに乗り込んだ。


みんな乗ったことを確認して、私もバスに乗り込む。


今日が最後。


3年間部活をやってきた、最後の見せ場。


絶対勝って終わりたい。