[未央sid]





「……」


え?

……え?


どう言うこと!?




少し離れた場所にあるカフェテラス。
さっきまでは、要1人だった。

なのに……。
いつの間にかそこにはジーナさんもいて。


目の前の光景に、あたしの意識は一気に持っていかれた。



ドクン

ドクン



加速する心臓の音。

重たくて、ズシンってのしかかるその心音に、喉の辺りが締め付けられる。




……なにしてるの?




イスに深く座る要にまるで覆いかぶさるように、その顔を近づけてるジーナさん。

ここから見ると……それは、キスシーンだ。






「未央ちゃん?」



固まったあたしの顔を覗き込んで、ケンゾーさんが不思議そうに言った。

だけど、そんなのあたしの耳には全然入ってこなくて。



ただ。

頭が真っ白になってた。




「本当にどうしたの?……あっちに何が……」



そう言ってあたしの視線の先を追ったケンゾーさんも、同じように固まって。

そして再び振り返った時には、なにもなかったように真っ白な歯を覗かせて「未央ちゃんも乗ってみる?」なんて楽しそうに笑うんだ。



ふたりの距離が近づいたのは、ほんの一瞬で。
すぐに見えた要の顔にあたしは慌てて視線を落とした。



アーモンド形の瞳を見開いて。
瞬きすら忘れてる感じだった……。


やっぱり……キス、されたのかな?





……なんで?