「莉奈、おはよ」


今日も教室に入って机に向かうと、すぐに真由があたしの元に近寄って来た。


あたしの前の席に横向きに座り、顔を近づけてくる。


あたしも反射的に真由に顔を近づけた。


話題はきっと――。


「莉奈、大丈夫だった?何もされてない?」


やっぱり、蔵島恭平の事だ。


「あの後ね、みんなが噂してたから心配になって」


『もう噂?』なんて思いながら、とりあえずどんな噂だったのか聞いてみる。


「莉奈の姿見たら何もなかったんだって安心したけど、あの後、蔵島くんにボコボコに殴られたって聞いたから」


蔵島恭平――。


どんだけ怖いイメージがついてんだか。


「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。
なにもされてないよ」


あたしが言うと、『ほんとに?』と、真由が頭を傾ける。


やっぱり、その上目使いにドキッとした。


今度そのテクニック教えてもらおうかな。