寝起きは最悪だった。


体は重いし、寝不足だし。


昨日カーテンを閉め忘れたせいで、直接差し込む日差しで目の裏がチカチカした。


最近のあたしは、悩み事が絶えない気がする。


悩みの種は全部あいつで、いつからかっていうか初めからだけど、どうしてもあたしの視界に入ってきて疑問だけを残していく。


考えても考えても答えなんて出なくて、いつも直接本人に確認して。


それが結構当り前になってきていて、いつものようにしつこく確認して。


だけど、それが結果的にこんなことになってしまった。


さすがに、図々しかったよね――。


赤の他人にあんなにしつこく質問された上に、勝手に物事決めつけられちゃ、誰だって怒るか。


野球、やってほしいな――。


この気持ちは間違ってるのかな。




「あれー?お友達じゃん。どうしたの?浮かない顔してんね」


何となく教室に行きづらくて、グラウンドのブロックに腰掛けていたら、目の前に人影が現れた。


聞き覚えのある声に顔を上げると、そこにいたのは平岡先輩だった。


だらしなく座っていた体勢を整えて、ピンと背筋を伸ばして頭を下げる。


「えーっと……」


目を泳がせるあたしの前で、先輩は何かを考えるように頭を傾げていた。


「あ、新森莉奈です。」


あたしが答えると、先輩の顔がパァっと晴れた。