それから小1時間、名前をローマ字に置き換えてたり、文字を並べかえたりしたが、これという文面は浮かばなかった。

やはり『死ねお前は』なんだろうか。

「あまり気にするな」

帰り際、達郎兄ちゃんはそう言ってくれたけど、あたしの心のモヤは晴れなかった。



「どうしたの果穂里その目!?」

翌日、顔を合わせるなり幸子に驚かれた。

「真っ赤じゃない!?」

そりゃそうだ。

達郎兄ちゃんが帰った後も、あーでもないこーでもないと、手紙の数字をいじくり回してたんだから。

ほぼ徹夜よ徹夜。

「なにしたの?」

「んー、別に」

観ようと思ってたDVDをまとめて観たと適当な事を言ってごまかした。

「受験終わったからってムチャな事やっちゃダメだよ?」

うう、幸子は本当にイイ友達だ。

あやうく手紙のことを打ち明けそうになった。

そりゃ達郎兄ちゃんが気にするなって言ったのは分かるけどさ。