翌日。あたしは4限目の自習時間に手紙とにらめっこしていた。

3月半ば過ぎると自習時間が多くなる。

とはいえ受験は終わっているので、別の事に時間を費やそうという考えが浮かぶ。

そんなワケで手紙とにらめっこしているのだが、解読法は全く浮かばない。

封筒・便箋ともに平凡。

手書きで数字が書いてあるだけ。

あて名だけが印刷だが、それがヒントになるとは思えない。

いったい手紙の送り主はあたしに何を伝えたいのだ。

大体がなんでノーヒントなんだ。こーいう場合、この数字がなにを表しているのかヒントをつけるだろーに。

…まてよ?

ノーヒントという事は、ヒントが必要ないほど身近な数字なんじゃないか?

身近な数字…なんだろう?

「ねぇ果穂里ってば」

気がつくとクラスメートの幸子が目の前にいた。

「どうしたの?」

「どうしたのじゃないわよ」

幸子はあきれた顔で言った。

「さっきから何度も呼んでるのに、全然返事しないんだもの」