夕方から旅立ったから目的地に着いたら星が瞬く時間に。

 「こんにちわ予約しました藤倉です」

 「ようこそ、遠い所お越しくださいました。わたくしは、女将の大野 桜子でございます」

 旅館の女将さんが丁寧な挨拶で出迎えてくれた。

 「さぁ、こんな古いところですが、料理と風呂は自慢よ ゆっくりしていってくださいね」

 「「ありがとうございます」」

 女将さんは、私達の荷物を二つ手に取り部屋まで案内してくれた。

 「お夕食先でよろしいかしら?」

 「はい」

 「では、直ぐにお運び致しますね あ、わたくしの事は桜子とお呼び頂けると嬉しいです」

 「桜子…さんですか?」

 「はい(笑)では後程」

 女将の桜子さんは、簡単に部屋と旅館の説明をし、一礼をして部屋をでる。

 好奇心旺盛な璃花は部屋中をピョンピョコ探索を始めた。

 「八重、こっち来て眺め凄いよ」

 「ホント?」

 璃花に誘われテラスを覗くと、眼下は月明かりに照らされた梅の樹々。

 それに加え、静かに聴こえる川の音。



 「お待たせ致しました」

 女将さんは、二人の仲居さんと共に再び姿を現す

 「こちらは、京名物の“くじ”の蕪蒸し 筍と菜花のお浸し……でございます」

 「こちらは食前酒のチェリー酒でございます」

 「あの、私達まだ未成年ですけど…」

 「ご心配ございませんよ アルコール度数も低めです、それに量も微量ですのでお体に障りはございませんから」

 「そかっ(笑)」

 「それでは、どうぞごゆっくりお寛ぎくださいませ」

 女将さんと仲居さんは襖戸から出ていった

 「さぁ、食べよう♪ もうぺッコペコだよ~」

 「そうだね、食べよう」

 月明かりに照らされた部屋で豪勢な食事を満喫



 「食べたね~」
 
 「少し、休憩したらお風呂行こうよ」

 「あ、うん」
 
 「体調でも悪いの?」

 「そうじゃなくて…」

 誰かの前でお風呂に入った事ないんだもの

 そんな事言えるわけないし