変身だの超能力だのなんてものは、マンガかアニメの中だけでの話だろう。

 ずっと、そう思っていた。  
 
 ましてや、自分が当事者になるなんて考えたこともない。

「一体何がどうしてこうなったんだかなあ」

 彼、中嶋津也は、見知らぬ貴婦人と対峙して途方に暮れていた。

「この高貴なシオン・ハルトマンの挑戦、受けないとは言いませんわよねえ?」

(受けるも何も、挑戦て何の話だよ)

 理解も想像も及ばない現実に、津也はもはや憤慨する気力すら失せていた。