「寝坊した~!!」 高校二年の春。 5度目の寝坊の朝。 慌ただしい一日が今日も始まった。 「美樹、ご飯は?」 「いらない! 食べる時間ないよ~」 洗面所で寝癖を直しながらお母さんに叫んだ。 寝坊するたび思っちゃう。 どうして癖毛に生まれてきたんだろうって。 外側にピョコンとはねる捻くれた髪を、肩の上に落ち着かせようと何度も櫛を入れた。