「ほら七瀬!とりあえず玄関掃いてきてっ」

「んもう塔子ちゃんさー、チトセが今日来るって分かってたわけじゃん?それならもっと計画的に…」

「あ?」

「ってゆーやさんに言えって言われた!!!」

「俺!?言ってない言ってない!!!」



それから

あっという間に日が経って、千歳くんがうちにやって来る当日を迎えた。


朝からお母さんはせっせと動き回り、隅々まで綺麗にしている。千歳くんが来るのは午後なのもあるからか、「抜かりなく出来るわね」とやる気に満ちていたのだ。

…反対に、学校がお休みの日に叩き起こされたなっちゃんはめちゃくちゃ不服そうだった。結局お母さんの地を這う殺気にすぐさま起きてきたけれど。



「杏花、ラストスパートで二階頼んでもいい?」

「うん!もちろん」



お昼ご飯も食べて、家族全員黙々と掃除をして。

あともう少しで千歳くんがやって来るのだ。



(…なんでだろ、そわそわする…)