前まで翔君の事が好きな乙女モードに入ってた私は活気に満ち溢れ全てが順調に行ってた気がしたが今は全くと言って良いほど上手く行かなく疲れていた。

「亜依子!顔!顔!鼻水出てるよ!」

「おっと危ねぇ!サンキュー!」

「サンキューじゃなくてありがとうって言う方が可愛いよ」

「ラジャー!」

「……わざと?」

明菜に度々指摘された。

学校も今は楽しくなく、習い事の合唱団も楽しくないと感じてしまっていた。

「ねえねえ私と一緒に中学受験しない?」

明菜に誘われた。

明菜とは小学校入学から一緒の仲なのだが一年生から六年生まで決まって

「お嬢様になりたい」

常々言っていた。

その為習い事もバレエやピアノ、茶道に習字とまさにキングオブお嬢の習い事をやってきていた。

『あそこの中学校はお嬢様学校』

どこから誰から聞いたのか知らないがそれを耳にした明菜はそこの中学校に行くんだと躍起になった。

「ね!ね!亜依子も行こ!」

「ごめん、私はいいや」

今の私にはそんな事考える余裕がなかった。

家庭が上手くいってない中でそんな話しを親にする勇気が私にはなかった。

この話を私が親にする事でこの話しを夫婦が話し合いをするとなると話しが進んで行く中で喧嘩が起こる事が容易に想像出来た。

まあ、そもそも私に行ける程の学力もなかったのだが。

ちなみにお嬢様明菜にはクラスの男達もちょっかい出したりはしなかった。

高嶺の花だったらしい。

「明菜が高嶺の花なら私は?」

「たんぽぽ」

くっそ吹いた。

本来ならムカつく所なんだろうけど明菜と私の扱いのあまりのギャップに大爆笑してしまった。

「ありがとう、久々に笑ったわ」

そう言うと栗原君は嬉しそうにニヤニヤしてた。