悠くんの告白宣言から数日後。

台風が地元の地域に直撃した。

数日前から天気予報で言われていたけど、こんなに激しいとは……!


「ひっ、ひええっ」


時刻は零時過ぎ。

もうとっくに寝ている時間帯だというのに、風の音が激しいせいで怖くて眠れない。

幸い避難勧告が出る地域じゃないけど、怖いものは怖い。

眠気が家出したので、私は時折情けない声をもらしつつ、布団に被ってやり過ごしていた。


「早く通り過ぎて……!」


その時、真っ暗だったスマートフォンの画面が明るくなった。

それを手に取ると、悠くんからラインのメッセージが来ていた。


《そっちは何も起きてない? こっちは無事だよ》


悠くん、わざわざメッセージ送ってくれたんだ。

私に気にかけてくれることが嬉しくて、しばらく感動に浸る。


《こっちも大丈夫だよ!》


音に怯えているなんて子どもっぽくて悠くんには言えない。

返信して数分後、突然悠くんから着信が来た。

へ!?

びっくりするあまり、心の中で変な声を上げてしまう。

嵐に怯えて心細い私は縋るようにその着信に出るとこにした。


「もしもし」

「もしもし……雨すごいね……きゃっ」

ギシギシと窓が激しく軋む音に、私は悲鳴を上げてしまった。


「大丈夫?」

「大丈夫。びっくりしただけだよ……早く通り過ぎて欲しいね」

「音が気になって眠れないでしょ」

「うん……すぐ怖がるところ子供っぽくて情けないや」

「誰だって苦手なものはあるよ。眠くなるまで話していようか」

「ありがとう」


悠くんの気遣いが嬉しくて、心がポカポカと温かくなるのを感じた。