十一月に入り、私の学校は来たる文化祭の準備に追われていた。

今日の放課後、悠くんとおうちデートをしているけど、明日からゆっくり過ごせなくなる。

登下校は送迎してくれるけど、それだけじゃ足りないよ……。


「響のクラスは何をするの?」

「クレープを作って売るんだ。私は裏方で作る方」


お菓子作りが好きな私にとって、嬉しいポジションだ。

クラスどころか学年で断トツ可愛い桐谷さんとお友達が呼び込みをすることになっている。

お客さんは沢山来るかもしれない。


「響はお菓子作りが好きだから適役だね」

「うんっ。途中で自由時間になるから一緒に回らない?」


学校の生徒の周りの目線は気になるけど、文化祭を好きな人と見て回りたい欲求に抗うことができなかった。


「いいよ」

「ありがとう。文化祭楽しみ」


快く頷いてくれた悠くんに、思わず笑みが零れた。

私は、当日が楽しみだと思いながら甘えるように悠くんに寄り添った。

悠くんもそんな私に破顔した。




来ないでと願いながらも、帰らなきゃ行けない時間に差しかかってしまう。


「響といると時間が経つのが早いよ」


同じことを考えていたんだ。

名残惜しいと思うとは私だけじゃないと自惚れていいのかな?

寂しい……。

私は寂しさのあまり、悠くんに寄り添って見上げた。


「響、」


悠くんは熱のこもった瞳を細め、私にキスをした。

触れるだけのものからついばむもの、そして、舌が絡み合う深いものに変わっていく。