5月も半ばになり、少し動いただけで、汗ばむ季節になっていく。
今日は、理々乃ちゃんも、音怜くんもバスケ部の練習でいなくて、私は朝ひとりで登校していた。
昨日の夜、理々乃ちゃんから言われたことを思い出しては、スマホの画面と
にらめっこしていた私。
【音怜くん、仮の彼女のフリするのやめよう】
メールの文章で、打っては消し、また打っては消しの繰り返し。
一向に、送信ボタンが押せずに、とうとうスマホの電源を落とした。
今日は部活の朝練と、放課後にも練習があると、寝る前に音怜くんから、メッセージがきた。
【分かったよ】
私は、当たり障りのない返事しか返せなかった。
本当は“明日、また一緒に学校行こうね”と、打ちたかったけど、指先が思うように動かなくて、諦めたんだ。
理々乃ちゃんの言葉を思い出す。
“とにかく! 音怜くんから早く別れて!? これ、忠告だから!!”
でも、私は仮の彼女だから、大丈夫なんじゃないの……?