楓くん、急に叩かれてビックリしたよね……痛かったよね……。

思い出すだけで、楓くんの頬を叩いた右手が震える。

人を叩いたのなんて初めてで、まだ痛みが引かなくて。

痛いのは私じゃないのに……。

ー♪~♪♪~。

……?

あてもなく廊下を歩き続けていると、どこからか聞こえてきた音楽。

……そっか、体育館でステージ発表があってるんだ。

私はくるっと向かう先を変えて、体育館の方へ。

気分転換でもしようかな……。

体育館に向かう途中も、楓くんに会うことは無い。

すれ違う家族連れやカップル……楽しいはずの文化祭なのに、私は胸がモヤモヤしたままで。