島田くんの口からはっきり聞こえた『帆乃香に会いたがってるヤツがもうすぐ来るはずだし』

それって、どう言う意味なの?

まさか、残りの2人がこれからここに来るの?

「はぁ? 帆乃香、何言ってんだよ? お前、それマジで言ってんの?」

「だって。ここで私に会いたがってる人なんて、あの時の人たちしか思いつかない。やっぱり私、帰る」

私は島田くんから後ずさりして、逃げようとした。

「ちょっと待てって!」

島田くんが私の腕を掴み私を振り向かせる。

私は怖くて、あの時のことを思い出していて。泣きそうになっていた。

島田くんに掴まれている腕が緊張している。

そんな私の顔を見て、島田くんが驚いた表情をした。

「違うから。俺が側にいるから。絶対あんな怖い思いはさせないから」

やっぱり島田くんは私がこの公園で襲われそうになったことを知っている。

「離して。嫌だ。どうして島田くんがそれを知っているの? やっぱり島田くん・・・」

島田くんに掴まれている腕を振り払おうとしていると、

「なにやってんの、 帆乃香。郁人も。郁人はなに帆乃香に触ってんの? 離れろよ!」

下から聞こえてきたこの声。私はこの声を覚えている。

「海人くん?!」

私のすぐ脇に海人くんが居ることに気付き、今度こそ思いっきり島田くんを押して、島田くんから体を離した。

「海人くん、ここに来ちゃだめ。この人、あの時の・・・」

あれ? ちょっと待って。さっき海人くんが島田くんのことを郁人って言った?

「帆乃香、なんで泣いてんの? 郁人に泣かされたの?」

やっぱり海人くんは島田くんを知っている。

すると島田くんが海人くんに向かって、

「海人、少し黙ってろよ。せっかく帆乃香を連れてきてやったのに」

2人の会話について行けず、島田くんと海人くんを交互に見た。

「帆乃香、遊びに来ないから寂しかったぞ」

海人くんがそう言いながら私に抱き着いてきた。

私は海人くんの目線まで屈み、海人くんの頭を撫でる。

「海人くん、この前は大丈夫だった? あれからお父さんは大丈夫だったのかな」

「お父さんって?」

海人くんが私に質問してくる。

「あの時、海人くんが連れてきてくれたでしょ? 私たちを助けてくれたじゃない。大丈夫だったのかな」

「あれ、父ちゃんじゃないよ。郁人だろ。喧嘩が強いのは郁人だよ」

えっ? 私が勝手にお父さんだと思っていた人は、島田くんだったの?

でも、どうして海人くんが島田くんを呼びに行ったの?

考えても答えが出ない。