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『セリカ、セリカ、目をお開けなさい。私の声が聞こえますか?』

「…………」

 直接脳に語りかけてくるような声……。

 ここは?

 起きたばかりの頭は回っておらず、セリカはボーッと目の前の景色をながめた。

 音が全くしない、ここは一体どこなの?


 セリカの見つめる先は白く、なにも無い世界が広がっていた。

 何処までも続く白い世界。

 自分が立っている場所が地面なのかさえわからない。方向感覚も麻痺し、上なのか下なのかも分からなくなる。

 白い無音の世界に立ち尽くしていると、ゾクリと背中に悪寒が走った。

 もしかしたら自分は死んでしまったのかもしれない。

 そんなことを考えていると、また頭の中に先ほどの声が響き、目の前に金髪の美しい女性が現れた。


『セリカ……やっと会えましたね』

 だれ?

 直接頭の中に響いてくる声に唖然とするセリカ。

 この声は眠りから覚める前に聞いた声……。

「あなたは?」

『そうですね……人々は私をこんな風に呼びますね。私はこの世界の断り、世界の始まり、時の支配者、リレイニア』

「リレイニア……」

 セリカはその名前に聞き覚えがあった。

「あっ……、あなたは女神リレイニア……様なのですか?」

『確かに女神と呼ぶ人もいますね』

 クスクスと笑うリレイニアを見つめセリカは固まった。

 そして一つの疑問が頭に浮かぶ。

「オウガは……オウガはどうなったのですか?」

『オウガならここにいますよ』