飲み会なんてたまに開催される程度だと思っていたけれど、郁也は職場のメンバーと週に一回くらいはご飯を食べに行くようになり、毎回帰りは深夜だった。まあ仕事が終わるのが遅いから、仕方ないのだけれど。
それに帰りは必ず電話をくれていたし、門限も守ってくれていたからなにも言わなかった。
一年の終わりに近づく頃、本格的な冬を迎えた街は、あっという間に真っ白に染まっていた。
《今日も行くことになった》
メッセージがきたのは十九時を過ぎた頃。
手に持っていたトマトと包丁をまな板に置いた。今日は真っ直ぐ帰るって言っていたのに。
最近はこういうのも増えてきた。確かにお互い自由にしようと話したけれど、せめて、もっと早く連絡がほしい。
今日は早番でスーパーに寄ることなく真っ直ぐ帰ってきたから、もう炊飯器のスイッチは押してしまったしお味噌汁も作ってしまった。
私も職場の女の子と遊びに行くことはあるけれど、必ず早めに連絡している。今までは郁也もそうだったのに、最近はこうして急に連絡をしてくることも時々あった。
幸いまだおかずは作っていなかったし、ご飯とお味噌汁は明日の朝にでも食べればいいか。とりあえず、昨日買っておいたお刺身だけは今日食べなければ。