そして午後。

 結局、私は恭介くんと八乙女くんの間に挟まれるようにして卓球の試合を見に行くことになってしまった。

「ねえねえ、あれ、八乙女くんと恭介くんじゃない?」
「いやーん、学園の二大王子様が来てる!」
「相変わらずカッコイイ~!」

 私と八乙女くん、恭介くんと三人で体育館に行くと、女子たちがこちらを見てヒソヒソと話し始めた。

「あの間に挟まれた女の子は誰?」
「ウワサによると八乙女くんの彼女だとか」
「ウソ、イメージと違う!」
「ねー、なんか意外だよね」

 女子たちの声に、反射的に身を縮こまらせる。

 だから、彼女じゃないってば!

「ハッハッハ、こうして見ると逆ハーレムみたいだな」

 なぜか上機嫌で笑って私の背中を叩いてくる恭介くん。

 その横顔を、八乙女くんは少しウンザリしたような顔で見つめた。

 うう、好きでもない女子とウワサを立てられて八乙女くんも困ってるんだろうな。

 いとしの恭介くんにも勘違いされるし。なんか申し訳ないなあ。

「若菜さん」

「へっ?」

 八乙女くんが申し訳無さそうな顔で頭を下げる。

「なんか、ごめんね。俺らのせいで目立ってるみたいで」

 私は慌てて頭を振った。

「う、ううん! サエちゃんがいなくて一人だったから、一緒に見られて嬉しいよ!」

「そうそう」

 恭介くんも私の肩に手を置き豪快に笑う。

「それに、これだけ目立てば、逆に八乙女ファンのやつだって手を出しずらいだろ?」

「そ、そうだね。ありがとう、恭介くん」

 二人とも、良い人だなあ。

 私としては、あんまり注目を浴びたくないから一人でこっそり見たいんだけど、二人がそこまで考えてくれるんだから、拒否するのも失礼だよね。

 私は大人しく、二人に挟まれてサエちゃんの出番を待った。