「ふーっ! ふーっ! 稲葉くん稲葉くん、私の稲葉くん。あなたが悪いのよ? 私というものがありながらこんな女に手を出して……」
血塗れになりながら、自分は一切悪くないというような物言いをしたのは、このクラスの浜崎美愛。
稲葉くんが教室に入った後、入り口から恨めしそうにこちらを見ていたから、こんなことになるんじゃないかと思っていたら。
まさかナイフで稲葉くんを刺すとはね。
おかげで私まで返り血を浴びちゃったよ。
陽が沈む時間……薄暗い時間。
逢魔時と呼ばれるこの時間には、魔物や魑魅魍魎が跋扈すると考えられているけれど。
「本当に、魔物みたいだね。浜崎さん」
「酷いわ酷いわ! 藤井さんが私の稲葉くんに手を出さなければ、私が稲葉くんにお仕置をすることもなかったのよ! だからこれは、藤井さんが悪いのよね?」
そう言って焦点の定まらない目を私に向けて、浜崎さんは満面の笑みを浮かべた。
今にも手にしたナイフで私に襲いかかって来そうだから、興奮させないようにしないと。
何か少しでも気を逸らすことが出来たら……。
血塗れになりながら、自分は一切悪くないというような物言いをしたのは、このクラスの浜崎美愛。
稲葉くんが教室に入った後、入り口から恨めしそうにこちらを見ていたから、こんなことになるんじゃないかと思っていたら。
まさかナイフで稲葉くんを刺すとはね。
おかげで私まで返り血を浴びちゃったよ。
陽が沈む時間……薄暗い時間。
逢魔時と呼ばれるこの時間には、魔物や魑魅魍魎が跋扈すると考えられているけれど。
「本当に、魔物みたいだね。浜崎さん」
「酷いわ酷いわ! 藤井さんが私の稲葉くんに手を出さなければ、私が稲葉くんにお仕置をすることもなかったのよ! だからこれは、藤井さんが悪いのよね?」
そう言って焦点の定まらない目を私に向けて、浜崎さんは満面の笑みを浮かべた。
今にも手にしたナイフで私に襲いかかって来そうだから、興奮させないようにしないと。
何か少しでも気を逸らすことが出来たら……。