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 次の日の朝。



 しつこくなり続ける目覚ましに、
 ベッドの上で文句タラタラな俺。


 もうちょっと寝かせろよ。


 俺の部屋に心美がいた残像のせいで

 興奮して、
 なかなか寝られなかったんだから。

 


 時計虐待って思われるくらい、
 殴るように目覚ましを止め

 重い瞼を、
 完全に閉じようとしたけれど……


「ヤベっ 8時じゃん」

 遅刻ギリギリの時間。


 布団を蹴とばし、
 ベッドから飛び起きた。



 階段を降り、リビングに駆け込む。


 父さんも広美さんも、
 出勤時間が遅い仕事。

 まだ寝ていて、リビングにはいない。


 心美は、もう学校に行ったよな?



 今日の俺の課題。

 『心美に、笑顔でおはようと言う』



 小学校に貼ってある、
 スローガンみたいなことをするって、
 昨日の俺は誓ったのに。

 寝坊って……

 俺、ガキより情けねーじゃん。