金曜日、やっと仕事も終わり明日から休みだと肩の力を抜き、加藤の運転する車に揺られているとスマホが鳴った。

スマホの画面には山口涼と表示されていた。

山口くんから?

「はい。一条です」

電話に出ると慌てた様子の涼の声が聞こえてくる。

「一条さんすいません。今日納品するはずの雑貨が届いてないって……どうなっているか知ってますか?」

えっ……どういうこと?

「わかったわ。まだ近くにいるから、すぐに戻るわ」


急いで会社に戻ると涼が一人でオロオロと歩き回っていた。

「山口くん何処に納品する分がないの?」

「一条さん!!マルオーデパートなんですけど、知ってますか?」

「マルオーデパート!!昨日佐藤さんにお願いして、発註スミって言ってたけど……ちょっと待って……」

自分のパソコンを開き、納品の記録をチェックすると……。

そんな……発注した形跡がない……。

どういうこと……。

……やられた。

佐藤さんの返事を鵜呑みにした私のミスだ。

きちんと確認するべきだった。

今の時間は6時30分……マルオーデパートまで直接持って行った方が早いわね。

「山口くん運転はできる?」

「はい。大丈夫ですよ」

「それなら納品庫へ行って直接持って行きましょう」

「はい!!」

二人で納品庫へ行き、必要な雑貨を車に詰め込むとマルオーデパートへ急いだ。

マルオーデパートの担当さんに頭を下げ、今回は今日中に納品できたこともあり、お叱りを受けることも無く、事なきを得た。

良かったーー玲奈と涼は胸をなで下ろした。