とっさに、彼女の手を握ってしまったけど、今の、夢じゃないよね?

何度も疑いそうになるけれど、さっき浅海さんを抱きしめた時の匂いとかぬくもりは、

しっかりとこの体が覚えているから。

浅海さんが言ってくれた『好き』の文字。

その声がずっと頭の中で響いていて、心臓が今までにないくらいうるさい。

え、好きな人に好きって言われたら、こんなんになるんだ。

死ぬんじゃないかってぐらい心拍数上がってるんだけど。

手を繋いだまま歩いていると、浅海さんが小さく息を吸ったのが聞こえた。

なんで息づかいひとつかわいいの。

「ねぇ、寧衣くん……」

「ん?」

横目にうつる、うつむき加減で俺の名前を呼ぶその姿がかわいすぎておかしくなりそうだ。

瞬きするたびにパチパチ動く、くりんとしたまつ毛とか、一生見てられる。

重症じゃん。