真琴くんの冷たい目がその女子達から私にうつる

呆然と立ち尽くす女子達の間を通り抜けて近づいてくる

怒った表情のままだ


「……怪我、どこ」

稀に見る語彙力皆無真琴くん

「えっと…膝」

「……立てる?」

「…立つ」

家での会話みたいなオフの喋り方

足に力を入れて立ち上がる

さっきよりも痛みへの理解はあるからか、我慢できる

でも
ぐいっと真琴くんが腕を引っ張り上げてくれて

スッと立ち上がれた


「…痛い?」



「平気」

嘘、痛い

「痛いくせに」

「…」

「帰ろ」

「う…ん」


弱ってる時に、優しくされるのって良くない

弱ってる時に、優しくされると涙腺が緩くなる

唇を思い切り噛んで涙を堪える

真琴くんが私の手首を掴む

そのまま引っ張って下駄箱を出る


真琴くんに引かれる手

真琴くんに…惹かれる手