「別にいいよ」

だからなにがぁぁ!!?

まだ言うか!?せめて説明して!


ぐいっ



頭をかかようとした手をグッと引き寄せられた

バランスを崩して倒れそうになったところを真琴くんに受け止められる

「俺が連れてくからお前は別に良いよ」

はぃ?

真琴くんが王子とは程遠いやるせない声で蒼馬に冷たく言い放つ

「俺が梓を連れて行くからお前が連れて行く必要はない」

…え、えぇぇ…


そ、蒼馬ぁー!
戻ってきてぇー!

顔と思考が宇宙旅行してるから戻ってきてくれ

そんな思いが届いたのか
しばらくしてハッとしたように蒼馬の意識が戻る

「え、は?どういうこと?」

「だからあんたが梓と行く必要はないって言ってんの」

必要あるないの話…なのかしら?


真琴くんに腕を掴まれたまま蒼馬に視線を向ける

すると蒼馬が私を見た後、ちょっと鋭い視線を真琴くんに送った

「あー…よくわかんないけど…こっちこそ別に良いよ。わざわざ学校の"王子様"の手を煩わせるわけにはいかないんでね」

おお…

蒼馬のことだから
あ、はいとか言って逃げると思ったのに…


「それに、今お取り込み中だろ?」

蒼馬が顎でわけわかめと言った顔をしている女の子たちを指す

「梓、行こう」