バタンと扉が閉まる


あいつがいなくなった家の中


ひどくしんみりしていて

夏始めだというのに、少し寒く感じる


……

「暇だな」

誰もいない家の中に俺の独り言が虚しく響く

不思議なものだ

この空気も誰もいない見慣れた家なのに

…全く違うものに見える気がする


特にすることもなく、リビングのソファの上にだらんと座り込む

興味のないテレビ番組をつけて、沈黙を紛らわす


昼どうしよ…

買ってきたらあいつ怒るよな

まあ…バレなきゃいいか


いや、さ

なんで今までは当然だったコンビニの飯を食べることに

あいつに気を使わなきゃなんないんだよ


…なんて文句を浮かべながらも

そこまで心地悪くない気も…するようなしないような