それから、2人のことが頭から離れなかった。

やっぱり、蓮翔も美人な女性が好きなんだね。蓮翔の声も優しかった。

もうやけ酒でも飲もうかな?
私はあまりお酒が好きではない。
でも今日は飲みたい気分だ。

「はぁ、なんでこう上手くいかないのだろう?」

真面目すぎるからいけないの?
もっと遊べばいいのかな?

でも私にはできない。
想像しただけでも身震いがした。

「ほんとつまらない女だなぁ」

また深くため息をついた。

優しくエスコートする蓮翔なんて想像つかなかった。やっぱり私は、ただのパシリ扱いだったのだと改めて思った。わかってたことなのにやっぱり辛い。

「はぁ〜」

「最近、ため息多いね」

「あっ、聞こえちゃいましたか?」

「思いっきりな」

「すいません」

私は、ここ1週間くらい、この調子だ。あつしさんにまた、見られちゃった。

よ〜し、あと人踏ん張り。そうすれば蓮翔に会う機会もなくなる。また元の生活に戻るだけ。

3日後に雑誌が仕上がり、5日後が販売日だ。頑張らなくちゃ。

今日は、らんさんに最後のチェックをしてもらう予定だ。

「らんさん、最終チェックをお願いします」

「はい、掛けて」

「失礼します」

この待ってる時間が、1番緊張する。
チェックしている時のらんさんは怖いくらい集中している。


「秋帆、よく頑張ったね」

「ありがとうございます」

らんさんが笑顔になるこの瞬間が、1番好き。
いつもハグしてくれて、お疲れさまって言ってくれる。
この瞬間と、1冊の本が出来上がる瞬間が感動と達成感で満たされるのだ。
だから、また頑張ろうと思う。来月号どんなことをやろうか?考えるのが楽しい。
ワクワクする。

このあと印刷屋さんに言って、後は、2人に出来上がった雑誌を持って行く。これでこの号の仕事は終わり。また次の号の準備をする。

かりんさんの事務所は、本人が今海外で撮影のようなので、社長さんに雑誌を渡した。

蓮翔の会社は、秘書の滝野さんに連絡を取った。蓮翔は、多忙らしく、いるかちょっとわからないが滝野さんは会社にいると言っていたから、今日行くことにした。明日は、公休だ。その後直帰でいいと言っていたので気は楽だ。

会社まで来ると、ちょっと緊張する。

「はぁ〜、よし」

私は、気合いを入れて、会社の中へ入った。