今日は外来の日だ。



回診が終わったら、急いで向かわないと。



俺は、テキパキと子供たちの体調を診て、外来の診察室に入った。



今日は火曜日だから、そんなに人は多くはないと思う。



だけど、西荻との約束もあるし、早めに終わらせたい。



俺はその一心で、午前中に外来の診察を終わらせた。



もちろん、手は抜いたりしないし、きちんと診察は丁寧にするけどさ。



西荻と話したい気持ちが強かったから、いつもより効率良く動いた。



そして、約束の昼休憩。



売店で弁当を買った俺は、中庭にやってきた。



夏が近づいている今、昼間に中庭に来る人は少ない。



俺は木陰のベンチに腰を下ろして、西荻が来るのを待つ。



5分程で、西荻はやってきた。



「寺内先生!早かったですね?」



「外来、今日は少なかったんだよ。」



嘘だよ。西荻のために、早く終わらせた。



「そうなんですね〜。あ、お昼持ってきてたんですね。一緒に食べましょう?」



「そうだな。ここ座れよ。木陰だから涼しいぞ。」



「じゃあ、お言葉に甘えて・・・。」



西荻の笑顔は、いつの間にか俺のエネルギー源になっている。



小さな弁当を取り出し、小さな口をもぐもぐと動かす姿は、俺の癒しの光景だ。



しばらく黙々と弁当を食べていた俺たちだったが、西荻がふと口を開いた。



「寺内先生。」



「何だ?」



「・・・好きです。」