光司は 4年になってすぐに 

希望していた 食品メーカーから 

内定通知を 受け取った。


「ヤッタね。光司 おめでとう。」

「ありがとう。まどかも 協力してくれたからね。」

「ううん。私は 何にもしてないよ。」

私は 涙を浮かべて 光司に抱き付いた。


「まどか。1泊で旅行しようか。」

「うん。行きたい。」

私は 光司の部屋に 泊まったことはない。

光司に抱かれて眠り 腕の中で 朝を迎えたい。



愛し合った後も 帰らなければいけない私を

光司は いつも 家まで 送ってくれた。


気怠い甘さのまま 電車に乗ることも

暗い道を 言葉少なに 歩くことも

それほど 大切にされていると思えて。


名残惜しさと 切なさで 熱い視線を 絡ませて

人目を避けて 別れ際 最後のキスをして。

光司は いつも マンションに入る私を 見送ってくれた。


「光司と泊まるの ちょっと恥ずかしいな。」

「可愛いこと 言うなよ。」

「えー。だって。寝ぐせがついた髪とか。」

「大丈夫。顔 浮腫んでいても 笑わないから。」

「ちょっと。光司!」


5月の連休前に 私達は 箱根に1泊を旅行した。