マンションに帰り、部屋のドアを閉めるなり、彼は私をドアに押し付けて激しいキスを繰り返した。

「これからもっと、夫婦らしいことをしようと思う。いいか?」

 濡れた唇が囁く。視線の熱で溶けてしまいそうなほど、彼は私を深く見つめていた。

 彼のプロポーズを、私は受けた。私はいつの間にか、彼を好きになっていたと気づいたから。

 どんな私でも受け入れてくれる。守ってくれる。愛してくれる。

 そんな彼だからこそ、記憶を失っていてももう一度恋をした。

 覚悟した私は、まぶたを閉じてこくりと頷く。恥ずかしくて、彼の顔は見られなかった。

 彼の手が私の背中に回った。と思って目を開けたら、次の瞬間にはお姫様抱っこされていた。

 器用に靴を脱がされ、寝室へ連れられていく。いつもより余裕のなさそうな景虎に、声をかけることもできない。

 寝室のドアが開く。景虎が私をベッドに横たえた。いつも、ただ添い寝するだけのベッドだ。