相手とぶつかって頭を強く打った橘くんは、病院で検査した結果、異常はなかったようだった。

次の日からはいつも通り橘くんと登下校を共にしていたけれど、どうしても本原くんの話が思い出されて、また彼とうまく接することができなくなっていた。


本原くんから話を聞こうにも、彼とふたりになれる機会などなく。

もちろん橘くん本人には聞けない。


うわさを流すほど、私を嫌っているのだろう。
いつ橘くんの復讐劇が始まるかわからない。

というより、すでに始まっているのかもしれない。

付き合っている設定にして周りの嫉妬を私に向けさせる……といった作戦の可能性もゼロではない。

つまりもう私は手遅れなのである。