『えっと、、コレは、何と読めばよろしいっっかと?』

彼アソシエイト(Assoc)←を
ディレクター(Dir)が
『カスガ』と呼ぶ。

Assoc君が 、私の渡したビジネス
カードを両手で掲げて聞いてきた
よ~。

『 武


B 』

「そのまま、声に出してみて下されば、良いですよォ。Assoc君~。」

「???!」

どうやら、Dirと違って この後輩は、正面型Assocみたいだねぇ。

「Assocはアソシエイト、助手、カスガの事だよ。ハジメオーナーは、客人の名前を 人前で呼ぶ事を 良しとは、されない主義なんだ。そのくせ、ご自分は、名前で呼ばせる。まあ、質が悪い冗談好きだよ。」

クックって、Dirも 人が悪そうな笑顔だよねん?
で、Assoc君、まだカードと睨めっこかい?

「酷いなあ~。仕事柄、お客様の情報を 守る気持ちからだよ。私が、戯れに付ける 略称は、オ・モテ・ナ・シ!オモテナシ~」

はい、合掌~。

なのに、Dirは 嫌な男だよねん。

「よく、『オモテナシ』なんて言えますね。裏ばっかりの 貴方が。カスガ、Bは裏面って意味もあるよね。」

アハハは!って爽やかに笑ってくれちゃって! でも、嫌いじゃないんだよォ。いや、頭の回転が速いDirとの会話は、楽しいんだよね~。
うん、Assoc君は まだ 話が見えてないね。読み方、考えくれていいよん。

黒屋根の洋館前に、白い車が止まって出て来てた二人。
一人は これまでに、何回か プロ・ペインターに連れてこられた研究センター長だね。

ふ~ん。

なに、新顔Assoc君も 体躯良さげだね。。
爽やか短髪、スポーツマン?

指輪、あるねぇ。
こ~ゆ~タイプだと、『家庭的』なハニーが居るんだぁ。

ふん!くそ~。
私だってねぇ、足調子戻ったら、ジムだよ~、ジム!!

私は、目の前の二人を 頭のテッペンから、足の先まで 観察するよ。


ヨミ君と、シオン君が 県央に出掛けてすぐに、この二人は本部オフィスにやって来きた。

ビックリだよ。
早速 寄ってきたハミングバードかと思っちゃうよね~。

丁度、暑くなって、窓を開けたら、立ってるもんだから。


「ああ お二人とも、宜しければ 中国茶など 如何ですか?。スタッフが水出しで、それは 丁寧に淹れてくれてるんですよ。これがまた、ヒンヤリと美味でしてね~。」

ちょ~っと、嫌味な視線。
二人を睨んで、シオン君が用意してくれた デキャンタセットを、私自ら、運ぶよ。

「先輩!!俺、ほんとっ、よくわかんないですっ。助けて下さい!」


ヒソヒソAssoc君が悲鳴を上げたかぁ。

「カスガ、せめて もう少し頭を回してみようか?本読まないわけじゃないだろ?」

優すぃ~いね♪Dirは。
だいたいさあ~、
Dirって 氷の貴公子が ピッタリの、長身の美丈夫でしょう?
一体幾つなんだか?

今日も、ラメ調に控えめチェックの 濃紺スリーピースって 決めてさ。
やめて~。私は、退院したてで、太ったんだよ。Dirと、並びたくないわ~。

窓からの風に、黒髪がなびくとかさあ。やめて~。


「ハジメさん、もしかして、他のオフィスからスタッフ来てます、よね?」

はぇ?

私が 渡したグラスを手にした途端だよ。

「あれ?ど~して、Dirは 私のオフィス事情がおわかりで?」

藪から棒な台詞に、つい言っちゃったけど。
そしたら、Dirは、口を弓なりにして言うんだよ、これが。

「いえ、同じモノを 過去の展示レセプションで サーブされてましたからね。この オフィスでは、初めて出されるでしょ?中国茶?」

で、独り言みたいに、

「どうりで、外に香る茶に 薫が移っていたわけだな。」

って、呟いてるけどっ!え、外にもお茶の匂い出てた?窓開けすぎたかな?
近所迷惑?!


「Dirって、とても嗅覚が良い?の?。まあ、私だってね、中国茶作法を嗜んでますからね。久しぶりに、私が 淹れたとは、 お考えにならないかな?」

実は、シオン君に 『銀月アパート』の中国茶オーナーを紹介したのは、私だからねん。
ゆ~か、何かな~。

あ、Assoc君も、どうぞ。
喉渇いてるんだねん。はい、もう一杯ねぇ。


「中国茶は、人の手に係る作法で淹れますからね、その人の薫がします、よね。」


怖い。


「ハジメさんが、仰るはずですね。とても美味しい。」

あぁ。本当に 綺麗に、
美味しそうに するね…。

「スタッフが言うに、『武夷岩茶』だとか、私は 仄かに橘の風味がして そこが また、、」


Dirの 長い指を見て、人タラシ君の顔が浮かんじゃった。
変なのに、好かれるとか 言ってたかも。前の展示会で なんかあったのかな~?そんな報告ないけど。


「そうですね、その向こうに、乳香が立ち上がりますね。」

う~ん…
そういう、Dirは 左手で持つ
空のグラスを 顔に掲げるんだね。

あ~、その左手の薬指の指輪。
あれだよん。

「・・・」

乳香? なぜ?

くん、くん。私は自分のスーツを香ってみたけど。

「ハジメさん、やめて下さいよ。笑えますよ、そんな。アハハ!貴方からは、ちゃんと 月下美人の薫りがしますからね。」

なんだよ、余裕縮尺イケメンムカつくよね~!
ついでに、家庭的嫁いるリAssoc爆発しろ!!

そうだよ!!私は、月下美人のオードトワレなの!


「で~、そろそろ優しいDir様は、迷えるAssoc君に、助け船を出して上げては、いかがかなあ~。」

私は、口の端が ヒクヒク痙攣するのを堪えて、目の前の美丈夫に
提案したわけだよ。
さあ、帰っていいよ~♪