どうしたんだろう。


 一体。



 昼休みもあと10分ほどで終了。

 普段ならどうってことない。


 
 なのに俺は、後ろが気になっている。


 窓際の、1番後ろの席。



 日向七海。


 『薔薇の木曜日』を読んでいて、ベタベタとくっついてこない特待生の編入生。

 本を貸してもらった日、電車で送ったときから気になっていた。


 たまに見せてくる笑みは、思わずハッとするほど。


 他人にこんなに興味を持ったのは初めてのことだった。