少しずつ母さんの記憶が薄れて行く。それが凄く怖かった。
そんな時、奏悟がアルバムの整理と言い昔の物から今までのアルバムを引っ張り出して来た。
懐かしい写真ばかりで見ていて心がホッコリした。
四人にページをめくってもらうと、まだ奏悟が生まれる前の写真があった。小さい俺の隣に笑った女の人が立っている。黒髪でポニーテールをしているその人には見覚えがあった。
「ねぇ。この人誰?」と訊くと全員が驚いた顔をしていた。
「ねぇ、まさか夕紀兄さん…」と奏悟が言う。
「この人、母さんだよ。忘れちゃったの?」と景都が俺を悲しい目で見ていた。
「え?」俺は少し戸惑った…