【羽衣side】


カーテンの隙間から差し込む
眩しい朝日に目を覚ます。


眠たい目をこすりながら
リビングルームに行くと、 

お母さんがスーツケースに
荷物を詰め込んでいる。


「お母さん、朝からどうしたの?」


なんだか、お母さんがご機嫌だ。


「お父さん、
急な出張で明日からアメリカなんだって!

それでね、
向こうでリラに会えるみたいなの。

だから、日本食とか、お菓子とか、
リラが欲しがってるものを
持たせてあげようと思って!」


お姉ちゃんっ‼︎


「いいなぁ! 
お父さん、お姉ちゃんに会えるの⁈」


「でも、明日出発だから、
とにかく時間がなくて慌ただしくて!」


そう話しながらもお母さんは
荷物を片手に部屋中を動き回っている。


リビングルームの真ん中に
大きく開かれたスーツケースのなかには、

お姉ちゃんのために用意したと思われる
お菓子やフリーズドライの日本食が
ぎっしり!


私もなにかお姉ちゃんに渡したいな。


お母さんの入れてくれたホットミルクを
ふーふーと冷ましながら、 

アメリカにいる
お姉ちゃんに思いを巡らせる。
 

お姉ちゃん、
どんなものが欲しいんだろう?


タフで頑張り屋なお姉ちゃんが
アメリカに留学して、もうすぐ一年。

お姉ちゃんのことだから、
アメリカの大学でも活躍してるんだろうな。

ふと、お姉ちゃんが
送ってくれた写真の数々を思い出す。


そういえば、お姉ちゃん、
雄大な渓谷でバンジージャンプしてたっけ。


次の長期休暇で
アマゾンに行きたいとも言ってた。

お姉ちゃん、無茶なこと、
してないといいけど……


「学校の帰りに安全祈願のお守り、
もらいにいこうかな」


ぽつりとつぶやくと、
お母さんがぱっと顔をあげる。