大会の帰りに、
一ノ瀬くんと手をつないで帰ったことや、
お昼ご飯を一緒に食べていたことは

あっという間に学校じゅうの噂になった。


一ノ瀬くんと伊集院くんのおかげで
嫌がらせをされるようなことは
なくなったけれど、

代わりに一ノ瀬くんへの風当たりが
強くなってしまった。


「最近の一ノ瀬くん、
ちょっと俺様っていうかさ」


「感じ、悪いよね」


休み時間、
一ノ瀬くんの名前が聞こえてきて
足を止めた。


「いい気になってるっていうかさ。

この前の日曜だって、
わざわざ応援に来てあげたのに、
体育館入れなかったし」


「応援団、やってる意味ないし!」


「今までこんなことなかったのに、
バスケ部の私物化、ひどくない?

ちょっとカッコいいからって
なんでも許されると思うなって感じだよね」


あまりに身勝手な発言に、
その人たちの前に飛び出しかけたところで、
ぐっと手をつかまれた。


振り返ると、
そこにいるのは一ノ瀬くんだった。