「起きてー!」




好きな子の声が聞こえる、ような気がする。
だけどどうしても睡魔に勝てず、重い瞼は上がらない。




……ごめんな




心の中で謝って、もう一度意識が深い底へと沈みかけたところで




「起きないとチョコあげないから……っ!」




今度は耳元で聞こえてきた可愛い声。




俺の沈みかけた意識はすぐに戻ってきて、ゆっくり目を開いた。




「……くれんの?」




少しぼやけた視界に花莉がうつりこむ。




「お、起きなかったらあげないもん…っ」




ぷいっと顔を逸らして、そう言う彼女。
まだ明るさに慣れない目を擦って、俺は大人しく座った。