新学期。高校生になった。
それだけなのに、入学式に向かう気分は、晴天というのもあって清々しい。

進学先は、徒歩20分程度の昼夜間定時制高校。それでいて単位制だから、学年なんて無いようなもの。同じ授業に、年上や年下がいることはよくあることらしい。

また、制服も校則も無くて、本当に自由な校風。近所だからという理由だけで入学を決めたようなものだった。

毎日服装を考えなくてはいけないことに気付いたのは入試が受かってからだったけど、なんちゃって制服で登校することにした。


入学式、体育館に着き、新入生名簿を配られる。五十音順に座るらしい。十羽だから、結構真ん中の方。

自分の席に座り、リュックを下に置いて息をついていると。


「貴哉って言うの?」

「…ん?うん」


名簿を見て名前を確認したらしく、話しかけてくる右隣の男子。


「俺は髙田 聖也(たかだ としや)!隣になったのも何かの縁…よろしくなー!」

「うん、よろしく!」


入学式の後にすぐ授業が始まるわけではなく、部活動紹介だったり、クラスごとの親睦会だったりがあって、ほとんどのクラスメイトと喋る機会があった。

誰が特別とかなくて、皆大好き。それは、男女関係無く。

だからこそ、特定の女の子と付き合うってことは無かったけれど…高校生になったら、“恋愛”っていうのも憧れるなぁ。