バコーン!と裏庭から爆発音がした。

「はー…もう来たんですか…ちょっと早すぎませんかね…」

委員長は珍しく焦った声で裏庭に視線を向ける。僕も釣られてそちらへ視線を向けた。そこに居たのは、不気味な真っ黒な鎧に身を包んだ怪しげな男だった。

「思ったよりも闇堕ちの進行具合酷そうだね…葛葉、僕の武器持ってきた?」

「あぁ、これでいいか?」

そう言うと葛葉は指を鳴らした。すると何も無いところから突如アサルトライフルが現れた。

「ん、流石だね。僕の好きなSCARだ。ありがと」

葛葉からARを受け取ると、叶は裏庭へと向かった。

「ちょ、にいやん!危ないってば!あの人なんか変だよ?!」

「そうですよ叶先生。ひまちゃんの言う通りです、ここにいた方が安全だし…」

危険だと言って叶を引き止める僕らに、彼はにこりと笑った。今まで見たことも無い、狂気的な笑顔だった。
まるで、殺すことが楽しみで仕方ないみたいな…ゾッとする笑顔。

「だぁいじょうぶだよ、ひまちゃん。剣持さん。僕これでも前の世界線では元暗殺者ですし」

「叶、アイツこっちに気付いたぞ」

厳戒態勢を取る葛葉と委員長より1歩前に進んだ叶は、黒い鎧の男をじっと見つめた。一方の男も、叶を見つめながらブツブツと呟いている。

「ち…ちがう、僕はこんなことをしたいわけじゃ…はは……こんな事ってなんだ?僕はなにを……_________もうなんでもいいや」

自分の中で何かが決着したのか、虚ろだった焦点がはっきりと合わさった男は、1番近くにいる叶に狙いを定めた。

「ふふ…戦いは、殺人はいけない事だと思いませんか?……まぁ僕はそう思いませんけど」