若かりし頃に恋をした。

たった一度だけ恋をした娘――雛菊(ひなぎく)との間に子を授かり、順風満帆のはずだった幸せは、ある日脆くも瓦解して…僕は全てを失った。


雛菊――雛ちゃんが命を賭して産んでくれた娘は、産声を上げることなくその命を失った。

雛ちゃんは最期に、言った。


『転生してまた出会いたい』


次こそは幸せになれるように、と。

僕は、ただただ頷いた。

そうすることしか、できなかったんだ。


だから雛ちゃん、僕は待ち続けているよ。

どんな形だっていい。

君とまた出会える日を――ここで、ずっと待っている。