「どういう事ですか!?」

立ち上がった拍子にガタンっと椅子がたてた大きな音が静かな空気に響いたが、気にもならなかった。

「ふ、福永さん、落ち着いて」

だが向かいに座る小心者の彼には大いに気になったらしい。アワアワとしながら両手で座る様にと促して来る。

「落ち着いてなんて無理に決まってるでしょ!」

それでもここはオフィスの一角だ。憮然とした態度のままながら、座り直した。

この会社に派遣されて二年と八ヶ月、自分なりに頑張ってきたし、周囲からの評価も悪くないはず。それなのに……。

福永成美、28歳。只今、突然に派遣切りを宣告されています。