どうしてこんなことになったのか。


すべてはあの日から始まった。


5日前のその日、私は、いつも通り新海家のお庭のお手入れをしていた。


下界とはかけ離れるように丘の上に広大な敷地を有する新海家の本宅。


贅を尽くした西洋風のお屋敷は、近隣の街の人達からはお城って呼ばれているらしい。


うちの家系は、先祖代々新海家に仕えていて広大なお屋敷の敷地内に一軒屋を建ててもらいそこで暮らしていた。


父は、若い頃から新海家専属の運転手をしていたけれど、今は腰を悪くして他の軽作業の仕事に代えてもらっている。


お庭のお手入れや諸雑務、その他、家令のようなことをしていて旦那さまや奥様からの信頼も厚い。


その父が、体を壊して2週間ほど入院することになってしまったので、代わりに私にも出来るお屋敷の仕事をさせてもらっている。