「まさか、あんな人だと思わなかった。心の底から幻滅しちゃった」


次の日の学校のお昼休み、あたしは真央ちゃんと机に向かい合って座りながら、お昼ご飯を食べていた。


教室の窓から燦々と差し込む五月の日差しが、クラスメイトたちの真新しい制服の生地や、深緑色のスライド黒板を明るく照らしている。


今日は、いきなり季節外れの暑さがきた。


白鳥学園は全教室エアコン完備だけど、ちょうど今はまだ点検中で使用できないから、教室はけっこう蒸し暑かった。


「暑いね。早くエアコン入れてくれないかな」


自販機で買ってきた冷たいジュースを飲みながら、ぶつくさ文句を言ってるあたしに向かって、真央ちゃんが下敷きをパタパタと仰いで風を送ってくれる。


「ご飯を食べると血糖値が上がるからね。それと、今の美空は頭に血が上ってるから」


「え?」


「朝からずーっとその話題ばっかりじゃん。近藤彬は極悪人だ!って」


「だって本当のことだもん」