「ふあ~!」

 大きなあくびが出てしまう。今日はちょっと寝過ごしちゃった。だから、私が起きた時にはクロちゃんはいなかった。
 私は今日も図書館へ向う。

(それにしても、寝ても、寝ても、寝たりないなぁ。もっと寝てたい)

 眠たい目を擦りながら、賑わう大通りを進む。

「谷中様!」
 声をかけられて振り返ると、白いローブ姿で、フードを被っている女性がいた。

「月鵬さん?」
「はい。おはようございます」

 月鵬さんはフードを軽くとって顔を見せると、またすぐにフードを被った。

「おはようございます。昨日はどうされたんですか?」
「すみません。ちょっと急用が出来まして」
「そうだったんですか……今日は一緒にお食事できますか?」
「お昼でしたら」

 良かった。

「これから図書館ですか?」
「あ、はい。そうです」
「私も行って良いですか?」
「はい、どうぞ!」
(ぜひぜひ! 今日は楽しくなりそう!)